図面作成・測量サポート

深夜酒類提供飲食店営業届や風俗営業許可申請において、店舗の測量をした上で、図面作成は必須ですが、不慣れな方には非常に難しい作業になります。

警視庁のHPなどには、必要書類として「営業所の平面図」と簡単に記載されておりますが、実際に警察署に行くと下記を求められます。

①営業所平面図(客室凡例付)
②求積図(営業所壁芯)
③求積図(客室・調理場)
④照明・音響設備配置図

この4点の図面について、ご自身で作成を頑張ろうという方向けにこのページで測量方法と図面作成方法について解説を致します。

少しでもお役に立てれば幸いです。

■ 図面作成の流れ

1. 風営法における用語について

A. 風俗営業許可・深夜酒類提供飲食店営業開始届に必要な図面・表の種類

風俗営業許可や深夜酒類提供飲食店営業届出では以下の図面や表の提出が必要になります。

なお、営業所の面積が60㎡以上の場合は1/100、60㎡未満の場合は1/50の縮図として、その縮尺を記載するのが原則ですが、100㎡くらいまでは1/50の縮図でも受理されます。

○ 営業所平面図:
 営業所全体の図面で、客室や調理場などの区画及び椅子やテーブルなどの設備を表記した図面。

○ 客室凡例:
 配置する椅子やテーブルなどのふかん図(上から見た図)や側面図とともに、寸法を表記したもの。

○ 求積図(営業所壁芯):
 営業所全体の壁芯面積を計算するために必要な各辺の長さを図面上に記載し、面積の計算表を載せたもの。

○ 求積図(客室・調理場):
 客席や調理場の区画ごとの面積を計算するために必要な各辺の長さを図面上に記載し、 面積の計算表を載せたもの。

○ 照明・音響設備配置図:
 ダウンライトなどの照明、及びスピーカーなどの音響設備の配置や個数を凡例とともに表記した図面。

B. 風俗営業・深夜酒類提供飲食店営業の営業所

「営業所」とは、客室のほか、専ら当該営業の用に供する調理室、クローク、廊下、洗面所、従業者の更衣室等を構成する建物その他の施設のことをいい、駐車場、庭等であっても、社会通念上当該建物と一体とみられ、専ら当該営業の用に供される施設であれば、「営業所」に含まれるものと解する。

警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」

営業所とはつまり店舗全体のエリアのことで、その大きさは壁芯(壁の厚さのちょうど中心を通る仮想上の線)で囲まれた面積で計算します。エレベーターホールなどの共用部分・ベランダ・PS(パイプスペース)は除外します。

くわしくは次項の求積図(営業所壁芯)を参照

C. 風俗営業 ・深夜酒類提供飲食店営業の客室

「客室」とは、客に飲食をさせ、又は客に遊興をさせるために客に利用させる場所を指す。例えば、調理場、バーカウンターの内側の客が位置しない部分、洗面所、和風の営業所における床の間・押入れ・廊下、ショーや歌舞音曲を実演するためのステージで客が位置しないもの等は、ここにいう客室には含まれない。

警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」

客室は一般的に客が店にいるときに常にいることができるエリア、及び客が使用できるテーブルなどやカラオケパブなどで客が立って歌うことができるステージなどが含まれます。

そのため、トイレや玄関口、ショーパブなどでのステージや、倉庫などは客室面積には含まれません。

また、営業の種類によって、一定以上の客室面積が必要になります。

深夜酒類提供飲食店: 客室が2室以上ある場合は1室辺り9.5m2以上

風俗営業1号(社交飲食店): 客室が2室以上ある場合は1室辺り16.5m2以上(和室の場合は9.5m2以上)

特定遊興飲食店営業: 33m2以上

面積は内寸(壁の内側の面積)で計算します。

2. 風営許可・深夜酒類提供飲食店営業開始届に必要な各図面・表について

A. 営業所平面図(客席凡例付)

営業所全体の図面で、客室や調理場などの区画及び椅子やテーブルなどの設備を表記した図面です。

  1. 営業所の区画: 壁の厚さの中心を青の実線で描きます
  2. 客室の区画: 客室の壁の内側を赤の実線で描きます
  3. 調理場の区画: 調理場の壁の内側を緑の実践で描きます
  4. 客室内凡例: 椅子やテーブルなどの個数や、寸法を元にした上から見た図や側面図を寸法とともに表記します

B. 求積図(営業所壁芯)

営業所の面積を計算するために必要な各辺の長さを図面上に記載し、面積の計算表を載せたものです。

  1. 営業所の区画: 壁の厚さの中心を青の実線で描きます
  2. 営業所の区画内を計算しやすいように適当に分割し、分割した面積を計算するために必要な辺の長さを割り出し記載します(小数第2位まで記載)
  3. 割り出した辺の長さを元に面積を計算します
    (長方形は底辺×高さ、台形は底辺×高さ、円は半径×半径×3.14、半円は半径×半径×3.14÷2
     三角形は底辺×高さ÷2、楕円の計算式は東京都では底辺×高さ×2/3の簡略計算式が特別に認められてます
  4. 面積の合計を表にして記載します(少数第4位まで記載)

C. 求積図(客室・調理場)

客室や調理場の区画ごとの 面積を計算するために必要な各辺の長さを図面上に記載した図面、またその図面を元にした面積の計算表です。

求積図(営業所壁芯)でやったことを客室や調理場などといった区画ごとに行います。

求積表では各区画ごとに面積の合計を計算し記載します。

なお、表示面積は少数第3位を四捨五入した後、少数第2位まで表記する。
(12.3767→12.38㎡)

D. 照明・音響設備配置図

ダウンライトなどの照明、及びスピーカーなどの音響設備の配置や個数を凡例とともに表記した図面です。

  1. 照明・音響設備の凡例を作成: 記号や色分け、機材の仕様や区画ごとの数の一覧表を作成します
  2. 図面上に配置: 図面上に凡例で作成した記号を、実際の配置に合わせて配置します

3. 図面を作成するための機器や測定方法

上記の図面を作成するための機器や計測方法をご案内します。

なお、計測はメートル単位で小数第2位まで記載します。

A. 必要な機材・ソフトウェア

○メジャー(スケール)

正確に距離やサイズを計測できるものであれば何でもOK

-オススメ機材

タジマ コンベックスGロック19

○レーザー距離計

店舗面積もよりますが、40mの距離が測れるものであれば基本的にはOK


部屋の辺の距離を正確に計測できます。

-オススメ機材

BOSCH Professional GLM40

○Jw_cad

メジャーやレーザー距離計で測った寸法から手書きで図面を作成してもよいのですが、手書きはかなり大変なため、一般的にはCADソフトを利用して図面を作成します。Auto-CADなどは性能は良いですが、高額です。無料で使えるJw-CADでも十分なので、費用を抑えたい方はJw-CADを使うことをおススメします。

無料で使える2次元汎用のCADアプリケーションソフト。
操作などに関しても数多く書籍が出ており、参考サイトなども多い。

ダウンロードはこちら

〇Jw-CADの勉強方法

独学で学ぶならこの本を読みながら、実際にダウンロードしたJw-CADを操作しながら覚えていってください。この本で覚えた操作方法とページ上記の各図面のルールを覚えれば、図面完成までほぼ辿り着けるでしょう!

-オススメ書籍

やさしく学ぶJw_cad8

B. 測定のポイント

測定を始める場所は、まずは、客室の一番長い箇所の縦横を測ることをおススメします!
(実査時に、必ず測定される箇所のため。他の箇所は浄化協会の担当者による)

客室を測り終わった後に、それ以外の営業所全体を測る

壁の梁などがある場合、床面積のサイズを測るので梁のない場所の距離を測る

ソファー、イス、テーブルなども、実際にサイズを測って作図する(凡例を記入するため高さも測る)

壁の厚さについても、測って実際の寸法に合わせて作図する
ただし、外壁については、 厚さが分からない場合は、東京都では20㎝と仮定し、作図する

ドアについてもサイズを測って、開いた場合の弧を表記する

<難易度の高い実測:壁の一部がカーブしていたり、斜めだったりする場合

カーブ(r)の作図の方法は難しいが、 Jw-CADの場合、カーブ上の中心点の位置を測り、Jw-CADの円・3点指示という機能を使うと描きやすい

斜めの線を図面に描くには、始点から終点までの斜めの辺の長さをまず測って、その長さで Jw-CAD上で円弧を描き、一方で他の直線ポイントから、その終点までの長さを測り、Jw-CADの「複線」機能を使い複線を引き、先ほどの「円弧」と「複線」の交点が正確な終点となるので、始点と交点(終点)を結べば正確な斜めの線となる。
(角度を正確に測るのは店舗内では難しいので、角度を用いずに描ける方法を使う)

■<行政書士の先生向け>図面サポート

新人の行政書士先生や、風俗営業許認可業務を専門とされていない行政書士先生が、深夜酒類届出や風俗営業許可申請をご依頼された場合、一番困難な作業が図面作成だと思います。

そういった行政書士の先生向けに、新宿行政書士事務所では、図面作成のみの依頼もお受けしますので、お気軽に下記までお問合せください。