風営法施行規則改正「管理者」の兼任

風俗営業許可申請特定遊興飲食店営業許可申請をする際には、申請店舗の「管理者」を定める必要がありますが、令和6年6月27日付で風営法施行規則の改正がありました。

今回の改正で「管理者」につき、複数店舗での「兼任」が認められるようになったように読めますが、実際はどうなのかにつき、本記事では解説します。

1,そもそも「管理者」とは?

風営法第24条により、下記の通り定められております。

風俗営業者は、営業所ごとに、当該営業所における業務の実施を統括管理する者のうちから、第三項に規定する業務を行う者として、「管理者」一人を選任しなければならない。

具体的な管理者の業務

営業所における業務の適正な実施を図るため必要な従業者に対する指導に関する計画を作成し、これに基づき従業者に対し実地に指導し、及びその記録を作成すること。

②営業所の構造及び設備が風営法第七条に規定する技術上の基準に適合する (客室内に高さ1m以上の衝立を設置しないことなど) ようにするため、必要な点検の実施及びその記録の記載について管理すること。

③深夜において、客が大声若しくは騒音を発し、又は酒に酔つて粗野若しくは乱暴な言動をすることその他営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼすことがないようにするために必要な措置を講じ、従業員に対する教育を行うことその他当該措置が適切になされるよう必要な措置を講ずること。

営業所における業務の実施に関する苦情の処理を行うこと。また苦情の処理に関する帳簿及びその記載について管理すること。

⑤都道府県の条例の規定により客として立ち入らせてはならないこととされる未成年者を営業所内で発見した場合において、当該未成年者に営業所から立ち退くべきことを勧告することその他の必要な措置を講ずること。

⑥従業者名簿及びその記載について管理すること。
 また、その際、生年月日及び国籍を確認すること(外国人の場合は、在留資格も確認)。

⑦営業所における業務の一部が委託される場合において、当該委託に係る業務の適正な実施を図るため必要な当該委託に係る契約の内容、業務の履行状況その他の事項の点検の実施及びその記録の記載について管理すること。

※また、管理者は3年に1回、管理者講習を受講しなければなりません。

2,今回の改正の内容

今回の風営法施行規則改定で管理者に関して規定する第37条が下記のようになりました。

第三十七条 法第二十四条第一項の規定により選任される管理者は、営業所ごとに専任の管理者として置かれなければならない。
<ここからが新たに追加された条文>
ただし、一の風俗営業者に係る二以上の営業所において、当該二以上の営業所が相互に接し、その間を客が自由に往来できるものであつて、かつ、当該二以上の営業所を通じて一人の管理者を置くことにつきそれぞれの営業所における第三十八条に規定する管理者の業務の適正な実施に支障がないものとして当該二以上の営業所の所在地を管轄する公安委員会(当該公安委員会が二以上あるときは、当該二以上の公安委員会)の承認を受けたときは、専任の管理者を置くことを要しない

具体的にはどういう事?

改正前の条文では、管理者は、複数店舗を兼ねることができず専任の必要がありました。

今回の改正で下記3つの条件を満たす場合には、管理者の兼任が認められました。

①営業者が同じ2店舗以上の店舗(営業所)が相互に接し
②その店舗間をお客さんが自由に出入りでき、
③管理者の業務を適正に実施できるとして公安委員会の承認を受けたとき

この「相互に接し」についての具体的意味は、現段階でははっきりしておりません。
同ビル内であればよいという見解、同ビル同フロア内でなければならないという見解、また、隣接ビルまでOKという見解もあるようです。この点については、後述する風営法解釈運用基準を参照下さい。

また、「自由に出入りでき」についての意味も、はっきりしませんが、こちらも後述する風営法解釈運用基準を参照下さい。

風営法解釈運用基準においてはどうなってる?

実は、今回の施行規則改正前から、風営法解釈運用基準(風営法に関連する法令について、必要な解釈と運用の基準を警察庁生活安全局が示したもの)において、管理者の兼任は下記の通り、認められるケースもありました。

「2つの営業所が接着しており、双方の店を同時に統括管理することができ、管理者の業務を適正に行い得る場合にあっては、当該管理者を同一人とすることも可能である扱いとする。」
この「接着しており」については、基本的には同ビル同フロア内という運用でした。

今回の施行規則改正と併せて、風営法解釈運用基準(令和6年6月27日付発)の上記管理者の兼任に関する部分も併せて改正され、下記のようになりました。

「施行規則第37条中のただし書に該当するか否かは、当該管理者が、当該二以上の営業所を同時に統括管理することができ、管理者の業務を適正に行い得るか否かで判断することとする。」

この基準から判断すると、同時に統轄管理することができるなら、同ビルだけでなく、近い距離の店舗なら兼任できるという判断になりそうにも読めますが、ケースバイケースで所轄と警察本部に事前相談が必要かと思われます。

3,申請書も変更になった

今回の改正で、風俗営業許可申請書特定遊興飲食店営業許可申請書の様式も変更になり、

管理者につき「選任状況 1、専任 2,兼任」という項目欄が増えました。

4,悩んだときは…

今回の記事では、管理者の兼任についての規則改正につき解説しましたが、
「自分たちのケースでは管理者は兼任できるんでしょうか?」「管理者が辞めてしまって、近くの店舗の管理者が兼任できると助かるんですが」など悩んでいる経営者の方もいらっしゃると思います。

その場合は、お気軽に風営法専門の行政書士事務所にご相談ください。
お電話や問い合わせフォームによる相談は無料です!

⇒ 新宿行政書士事務所 03-6675-9016

報酬一覧

Related Posts