新宿区でバーを開業する(深夜酒類提供飲食店営業開始届)場合の注意点

歌舞伎町を含め、新宿区内でバー(BAR)を開業する方は、年間にかなりの数がいますが、その中には、当然、初めてお店をオープンする方もいると思います。

今回の記事では、新宿区内で初めてバーを開業する方向けに、手続きの流れ、注意点を風営法専門の行政書士が解説します。

1、物件探しにおける注意点

まず確認したいことは、今回、開業するお店は深夜帯(0~6時)も営業されますか?

深夜も営業する場合は、管轄警察署に、「深夜における酒類提供飲食店営業」の開始届を提出する必要があります。

しかし、新宿区はいくら大都会とはいっても、どの場所でも深夜まで営業できるわけではありません。

具体的には、借りる予定の物件の所在地の用途地域が、「商業地域」・「近隣商業地域」・「工業地域」・「工業専用地域」・「準工業地域」である必要があります。

物件を借りた後に、上記地域でないと、発覚しても手遅れですので、その点、事前に確認しましょう。

とは言っても、バー使用可として、テナント募集されている物件であれば、多くは 「商業地域」・「近隣商業地域」 内にありますので、そこまで神経をとがらせる必要はありませんが、頭には入れておいてください。

2、まずは飲食店営業の許可を取得しよう!

<申請場所>

バーを開業するには、飲食店営業の許可を取得する必要があります(深夜営業しない店でも)。

申請場所は、新宿区内であれば、どこであっても、下記になります。

新宿保健所 食品衛生課(新宿区新宿5-18-21 3

花園神社と吉本興業・東京事務所の裏のある建物の3階です。

申請に必要な書類や、細かい手続きの流れは、保健所のHP手引きをご確認頂けたらと思いますが、その中で、よくある質問や注意点を下記に記載します。

<大まかな流れ>

申請 → 店舗検査(保健所職員による) → 許可書交付

※申請から店舗検査までは、検査職員の都合によりますが、早ければ当日午後以降から可能です。
※検査完了から許可書発行までは平均1週間となります。
※店舗検査が完了すれば、許可証発行前でも、検査完了日の翌日から飲食店営業可能です。

<申請書類に関するよくある質問>

1,食品衛生責任者がいないのだけど、どうしたらよいか?

→申請後に、「食品衛生責任者養成講習会」を受講しますという「誓約書」を提出すれば、申請時点において、該当者がいなく ても申請は可能です。なお、現在は、e-ラーニングで受講することも可能です。
なお、受講後に、保健所に改めて食品衛生責任者の届出をする必要があります。

2,図面がないのだけれど、どうしたらよいか?

⇒図面は必ず必要です。前の営業者や不動産業者から取得できるのが一番ですが、ない場合は、ご自身で作成する必要があります。難しい場合は、内装業者や行政書士に依頼するのが近道です。

<居抜店舗を契約する場合の設備に関する注意点>

1,客室と調理場を区切るドア(ウエスタンドア)がない

→以前の店舗でも、許可取得時にはあったのでしょうが、営業の際に取り外し、居抜物件を借りた際にはないことが多いです。その場合、ドアを取り付ける必要があります。

2,調理場内に従業員用手洗いがない

→こちらも当初許可時にはあったのでしょうが、営業中の手洗いは二槽シンクで済ませるため別に手洗いがあっても邪魔だと考え、外す営業者の方が多いです。(食品衛生法上はもちろんだめです!)
ない場合は、改めて取り付ける必要があります。なお、令和3年6月の食品衛生法改正に伴い、従業員用手洗いの蛇口は、肘で操作できるレバータイプか自動センサ感知タイプか足踏みタイプであることが必須になりました。

3,調理場内に戸棚がない

→飲食店営業許可では、「戸棚」が必要です。単なる「棚」ではなく、「戸(扉)」が付いた「戸棚」が必要です。営業中、グラス等の取り出しを早くするためか「戸(扉)」がなくなっているケースがあります。こちらもない場合は、取り付ける必要があります。もしくは新しく「戸棚」を購入して設置する必要があります。

3,警察署に深夜営業するための届出(深酒届出)を出しに行こう!

無事、保健所の許可が下りましたら、次は、警察署に深夜営業するための届出をする必要があります。

<大まかな流れ>

申請書類の準備(図面作成含む) → 届出(申請) → 10日後から深夜営業可能

※届出が受理されたとしても、その日から深夜も営業できるわけではありませんので注意しましょう!

<エリアごとの届出場所(申請場所)>

新宿区内には4つ警察署があり、店舗の住所地によって、管轄が決められております。
新宿警察署以外の管轄は、 各警察署のHPをご確認ください。

新宿警察署(新宿区西新宿6-1-1) 電話:03-3346-0110

(管轄住所地)

  • 新宿3丁目(15番、17番の各一部、18番から29番、31番の一部、33番から38番)
  • 新宿5丁目(12番から14番の各一部、18番の一部)
  • 新宿6丁目から7丁目
  • 歌舞伎町1丁目(1番の一部を除く)  歌舞伎町2丁目
  • 西新宿1丁目から8丁目
  • 北新宿1丁目から4丁目
  • 余丁町(8番の一部)  大久保1丁目から3丁目  百人町1丁目から3丁目

四谷警察署(新宿区左門町6番地5) 電話:03-3357-0110

牛込警察署(新宿区南山伏町1番15号) 電話:03-3269-0110

戸塚警察署(新宿区西早稲田3丁目30番13号) 電話:03-3207-0110

<注意事項>

新宿警察署の場合は、当日飛込で行っても受付時間内であれば受付してもらえますが、他の3署の場合、担当者が不在の可能性もあるため、事前予約して行く必要があります。

<届出(申請)に必要な書類>

1,届出書

2,届出書(営業の方法)

3,メニュー表(料金表)

4,店舗所在地図

5,店舗に関する平面図、求積図、照明・音響設備配置図

6、賃貸借契約書の写し(内容によっては、使用承諾書も必要)

7,営業者の住民票の写し(本籍記載、個人番号未記載)

8,飲食店営業許可書の写し

(法人の場合は上記に加え下記追加)

9,履歴事項全部証明書の写し

10,定款の写し

11,役員全員の住民票の写し (本籍記載、個人番号未記載)

<参考>東京都における深夜酒類提供飲食店営業開始届の様式 および 必要書類

<届出(申請)書類に関するよくある質問>

1,図面は飲食店営業許可申請で提出したものを付ければよいですか?

⇒ 警察署に提出する図面は、独特の細かいルールに基づいた図面である必要があり、保健所に提出した簡易図面では受付してもらえません。図面に関しては、当HPのこのページをご一読ください。

2、当社は法人なのですが、届出(申請)は従業員が行っても大丈夫でしょうか?

⇒ 原則としては、代表者になりますが、代表者から委任状をもらえば、従業者でも可能です。ただし、警察署としては、その場合でも、できるだけ役員の方が申請に来るよう求められます。

3,店舗の契約形態が、転貸なのですが、その場合は、何が必要でしょうか。

⇒ 原則として、元々の賃貸契約書と転貸契約書が必要です。
  また別途「使用承諾書」が求められることもあります。

<店舗の構造に関する注意点>

深夜営業を行う場合、下記のような構造だと、届出しても警察署で受理されませんので、事前に内装業者さんに依頼するなどして、解消しておきましょう!

1,客室内に1m以上のついたてがある

深夜酒類提供飲食店営業においては、客室内に1mを超える衝立や間仕切りは許されません。
居抜物件の場合、物件を借りた際に、間仕切りが高いものがついていることがあります。当然、1m未満に改装する必要があります。

2,照明スイッチに調光機能(スライダックス)がある

深夜酒類提供飲食店営業においては、営業所内の照度を20ルクス以上に保つ必要があります。照度を自由に変えられる調光機能がついた照明スイッチは認められておりません。こちらも、許可後に変更する営業者の方がおり、その場合は、調光機能のないON/OFFのみのスイッチに変更する必要があります。

3,客室が2室以上の場合で、1室の面積が9.5㎡未満である

1m以上の間仕切り等で、客室が2室以上の場合、 1室の面積が9.5㎡以上である必要があります。
面積が狭い場合は、間仕切りを改装する必要がありますので、ご注意ください。
なお、1室しかないお店の場合は、9.5㎡未満でも大丈夫です。

4、申請に困ったら

上記手続きを行ってみて営業者ご自身で申請するのが難しいと少しでも感じたら、申請のプロである行政書士にお気軽にご相談・ご依頼ください。

⇒ 新宿行政書士事務所  03-6675-9016

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