キャバクラやホストクラブなど経営者の中には、事業が軌道に乗って、多店舗展開される方もいると思います。
一方で、多店舗展開した後、その内の1店舗を第三者に譲渡したり、従業員に譲り渡したいと考えることもあるでしょう。
その場合、原則的には、風俗営業許可を取り直す必要がありますが、当初の許可を法人で取得している場合、「会社分割」と「分割承認申請」を行うことで、継続営業が可能です。
今回は、その具体的手続きについて行政書士が解説します。
1,会社分割とは?
「会社分割」とは、ある会社の中の特定の事業を他の会社へ承継する手続きのことです。業績の思わしくない事業を切り離す、業績好調な事業を売却して利益を得るといった目的等に活用されます。
そして、会社分割は、大きく「吸収分割」と「新設分割」の2つに分けられます。
(なお、株式会社だけでなく、合同会社であっても会社分割は行えます!
吸収分割
吸収分割は既に設立している法人間で行います。例えば、ある法人の事業部や店舗を、すでに設立している違う法人へ移すことです。具体的には、下記、図を参照ください。
(左は一般的な事業部の分割、右はキャバクラ店の店舗を分割譲渡するケース)
新設分割
新設分割は新たに設立した法人と既存の法人の間で行います。 例えば、 新しく設立した会社へ既存の事業部や店舗を移すことです。具体的には、下記、図を参照ください。
吸収分割は既に設立している法人間で行います。例えば、ある法人の事業部や店舗を、すでに設立している違う法人へ移すことです。具体的には、下記、図を参照ください。
(左は一般的な事業部の分割、右はキャバクラ店の店舗を分割譲渡するケース)
2,分割承認申請とは?
風営法第7条の3で「分割承認申請」に関して下記の通り規定されております。
「風俗営業者たる法人が分割により風俗営業を承継させる場合において、あらかじめ当該分割について国家公安委員会規則で定めるところにより公安委員会の承認を受けたときは、分割により当該風俗営業を承継した法人は、当該風俗営業についての風俗営業者の地位を承継する。」
具体的には、風営法解釈運用基準で下記の通り規定されております。
「法人の分割の承認の申請は、風俗営業者たる法人が会社法第757条以下等の規定に基づき分割をする場合において、①当該法人から分離される営業所に係る営業を既存の他の法人が承継して引き続き営もうとするとき(吸収分割)又は②当該法人から分離される営業所に係る営業を当該分割により新たに設立される法人が承継して引き続き営もうとするとき(新設分割)に営業所ごとになされるものである。」
より、具体的な手続きについては、下記記事を参照ください!
3、分割承認申請のメリット・デメリット
メリット
1,営業を休むことなく継続営業できる。
2,対象店舗の周辺に保全対象施設が出来ていた場合、新たに許可を取り直すことができないが、分割承認申請であれば、そのまま許可を継続できる。
デメリット
1,分割前に行政処分が行われた場合は、当該処分の効力も承継される。
4、手続きの流れ
1,分割計画又は分割契約の作成
2,分割承認申請(警察署)
3,承認
4,会社分割登記(法務局)
5,登記完了
6,許可証書換申請(警察署)
7,新しい許可証の受取
(参考)申請書様式(警視庁HP)
承継の効力発生時期
①吸収分割の場合は、吸収分割が効力を生ずる日として吸収分割契約で定められた日より、承継会社にて営業開始できる。それ以前は、分割前の会社で営業可能。
②新設分割の場合は、新設会社の設立の登記の日より、新設会社にて営業開始できる。 それ以前は、分割前の会社で営業可能。
5、確実に手続きを進めるには?
分割承認申請は手続きが複雑で、手順を間違うと許可が失われるケースもあります。
確実に行うには、風営法関連手続きの専門家である行政書士にご相談・ご依頼ください。
(また、経営者の方からお話しを直接聞くことで、会社分割より適した手続き手法を提案できる可能性もあります)
お電話やメールによる相談は無料です。
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