令和7年5月28日に公布された改正風営法ですが、多くの改正点は、令和7年6月28日に既に施行済みですが、一部の改正点は、令和7年11月28日より施行されます。
(この改正に関連する風営法内閣府令・風営法施行規則は令和7年10月17日に公布)
今回の記事では、本年11月28日に施行される具体的改正内容につき、風営法専門の行政書士が解説致します。
<参考記事>改正風営法(案)が公表!R7
1,R7/11/28施行の改正内容
風俗営業許可を取れない者・法人(欠格事由)が追加
風営法では、風俗営業許可を取得できない欠格事由が定められておりますが、その欠格事由に下記が追加されました。
①親会社等(密接な関係を有する法人)が許可を取り消された法人
<親会社等の具体例>
(ア) 申請者が株式会社である場合にその議決権の過半数を所有している者等
(イ) 申請者が持分会社である場合にその資本金の二分の一を超える額を出資している者等
(ウ) 出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより、申請者の事業の方針の決定に関して、前二号に掲げる者と同等以上の支配的な影響力を有すると認められる者等
②警察による立入調査後に許可証の返納(処分逃れ)をした者
<具体的には>
(ア) 警察による風俗営業の営業所への立入りが行われた日から10日以内に、許可証を返納した者
(イ) 立入日から10日以内に聴聞決定予定日が通知された場合は、当該聴聞決定予定日(立入日から90日以内)までの間に許可証の返納した者
※ただし、上記の場合において、風俗営業の廃止について相当な理由がある場合は許可証を返納しても欠格事由に該当しないが、当該理由の疎明は風俗営業者において行う必要あり
③暴力的不法行為等を行うおそれがある者がその事業活動に支配的な影響力を有する者
この③における「支配的な影響力」を有する者の範囲は、風俗営業者たる法人に関していかなる役職等も有していない者であっても該当する可能性があります。
<具体例>
暴力的不法行為者が、名目のいかんを問わず、多額の金品その他財産上の利益の供与を受けていたり、売買、請負、委任その他の多額の有償契約を結んでいるという事実から、その者の事業活動に支配的な影響力を有していると認められる場合などが想定される。
※なお、②③は法人たる風俗営業者のみならず、個人事業者にも適用される欠格事由である。
<参考>上記①の(ウ)の更なる具体例 (風営法解釈運用基準より)
〇 役員若しくは使用人である者、又はこれらであった者を、他の法人の代表権のある役員として派遣している法人
〇 他の法人の資金調達額の総額のうち相当額について融資(債務保証及び担保の提供を含む。)を行っている法人
〇 技術援助契約を締結しており、当該契約の終了により、事業の継続に重要な影響を及ぼすこととなる法人
〇 フランチャイズ契約等により著しく事業上の影響を及ぼすこととなる法人
〇 過半数には及ばないまでも相当数の議決権を有していること、接客や経営に関するマニュアルの配布、役員や従業員の指導・教育を通じて事業の方針の決定に影響を及ぼしている法人等
<参考>上記②の場合における欠格事由に該当しない場合(風営法解釈運用基準より)
風俗営業の廃止について相当な理由がある場合には、法第4条第1項第8号の欠格事由には該当しないこととされているところ、相当な理由がある場合とは、例えば、立入りが行われる以前から廃業を予定しており、従業員等にも立入りが行われる前にその旨を通告していた場合等である。
(ただし、当該理由については、廃業をした者が立証しなければならない)
<参考>改正に関する警察庁通知(令和7年10月17日付)
<参考>改正に関する警察庁通達(令和7年10月20日付)
今回の法改正に伴い、風営法に関する警察庁の解釈運用基準も一部改正されました。
2,風俗営業許可申請の際に添付する書類の修正と追加
今回の改正で、風俗営業許可を申請する際に添付する書類も一部改正されました。
(新規許可申請だけでなく合併、分割承認申請も同様)
具体的には、
①申請者が株式会社の場合は、株主名簿が必須になりました
会社法(第 121 条)に定められた名簿の写しを添付する必要があります。
添付する名簿は、作成されている現行の名簿全てであり、影響力のある者だけを抽出するものではありません。合同会社の場合は、株主名簿はありませんので、不要です。
②誓約書の内容が改定されました
改正前も、欠格事由に該当しないことなどの誓約書を添付する必要がありましたので、その内容が今回の改正点を踏まえ改正されました。具体的には下記になります。
※なお、管理者に関する誓約書1・誓約書2は今まで通り必要です。
③申請者と密接な関係を有する法人に関する書面が必要になります。
申請者と密接な関係を有する法人(親会社等)の内容が分かる書面が必要になりました。
具体的には下記になります。
なお、密接な関係を有する法人が存在しない場合も、その旨を記載した書面を提出する必要があります。
<参考>改正書類に関する経過措置
⑴ 令和7年 11 月 27 日以前に申請・許可がされるもの
→改正前の書類のみ提出すればOK
⑵ 令和7年 11 月 28 日以降に申請・許可がされるもの
→改正後の書類のみ提出すればOK
⑶ 令和7年 11 月 27 日以前に申請がされ、令和7年 11 月 28 日以降に許可がされるもの
→改正前・後の両書類が必要
3,専門家に相談したい…
今回の改正で、「自分の会社・グループは風営許可を取れるだろうか」「許可が取れないようにならないために、より遵法営業を行いたいのでアドバイスがほしい」など、真剣に考えている経営者の方もいらっしゃると思います。
その場合は、お気軽に風営法専門の行政書士事務所にご相談ください。
⇒ 新宿行政書士事務所 03-6675-9016

