クラブやキャバクラ、ホストクラブを始める際に、居抜物件やリース店舗を借りて始める方も多くいると思います。
今回の記事では、 居抜物件やリース店舗を借りた場合における風俗営業許可申請の注意点を風営法専門の行政書士が解説します。
1,居抜物件の場合、そのままで許可がとれるか
居抜物件を借りた場合、「前の店舗も飲食店営業や風俗営業の許可を取ってやっていたからこのままで許可は取れるだろう」と多くの方は思われると思います。
ですが、残念ながら、そのままでは許可は下りないことが大半です。
理由は、多くのお店が許可が下りた後に、無断改装をしているからです!
特に、警察と違ってそこまで厳しくない保健所の飲食店営業許可に関する構造設備を変更しているお店は非常に多いです。
2、店内設備や構造に関する注意点
居抜店舗物件(造作設備が残っている物件や、リース物件)を借りた場合、多くのケースで下記の点につき改善する必要があります。
<飲食店営業許可の注意点>
1,客室と調理場を区切るドア(ウエスタンドア)がない
以前の店舗でも、許可取得時にはあったのでしょうが、営業の際に取り外し、居抜物件を借りた際にはないことが多いです。その場合、ドアを取り付ける必要があります。
2,調理場内に従業員用手洗いがない
こちらも当初許可時にはあったのでしょうが、営業中の手洗いは二槽シンクで済ませるため別に手洗いがあっても邪魔だと考え、外す営業者の方が多いです。
(食品衛生法上はもちろんだめです!)
従業員手洗いがない場合は、改めて取り付ける必要があります。なお、令和3年6月の食品衛生法改正に伴い、従業員用手洗いの蛇口は、肘で操作できるレバータイプか自動センサ感知タイプか足踏みタイプであることが必須になりました。
3,調理場内に戸棚がない
飲食店営業許可では、「戸棚」が必要です。単なる「棚」ではなく、「戸(扉)」が付いた「戸棚」が必要です。営業中、グラス等の取り出しを早くするためか「戸(扉)」がなくなっているケースがあります。こちらもない場合は、取り付ける必要があります。もしくは新しく「戸棚」を購入して設置する必要があります。
4,冷蔵庫に温度計が付いていない
業務用の冷蔵庫(コールドテーブルなど)の場合は、温度計はほとんど付いておりますが、家庭用冷蔵庫の場合には、温度計がないので、温度計を設置する必要があります。
とはいえ、これは100均等で温度計を買って、冷蔵庫内に設置すればOKです。
5,2槽シンクからお湯が出ない
これは単純にガス契約をすれば、お湯が出ることが大半ですが、稀にガス給湯器が壊れていることがあり、その場合は交換する必要があります。
また、場所によっては、ガスが通っていない物件もあり、その場合は電気給湯器を設置する必要があります。
6,その他細かい構造設備基準
以上1~5が多くの居抜店舗でよくある不備事項です。
その他、細かい基準については、下記手引き内の「営業施設の共通基準」「特定基準」をご確認ください。
(参考)東京都飲食店営業許可手引き
7,緩和措置
今回営業しようとするお店が、「ソフトドリンク」と「アルコール」のみで、おつまみも含め、食べ物を一切提供しないお店の場合は、「お湯が出なくてもよかったり、二層シンクでなく、一層シンクのみでよかったり」といった、設備に関する緩和措置がありますが、管轄保健所によっては認められないケースも多いです。
<風俗営業許可の注意点>
1,客室内に見通しを妨げる設備がある
風俗営業許可においては、客室内に1m以上の衝立や間仕切りは認められません。
許可時には1m未満であったはずの衝立を許可後に高くする営業者の方がおり(当然違法です)、物件を借りた際に、間仕切りが高いものがついていることがあります。この場合は、当然、1m未満に改装する必要があります。
2,照明スイッチに調光機能(スライダックス)がある
風俗営業許可においては、営業所内の照度を5ルクス以上に保つ必要があります。
そして、照度を自由に変えられる調光機能がついた照明スイッチは認められておりません。こちらも、許可後に変更する営業者の方がおり、その場合は、調光機能のないON/OFFのみのスイッチに変更する必要があります。
3,その他の構造設備基準
以上1~2が多くの居抜店舗でよくある不備事項です。
その他の基準については、風営法施行規則にて、下記の通り定められております。
一 客室の床面積は、和風の客室に係るものにあつては1室の床面積を9.5㎡以上とし、その他のものにあつては1室の床面積を 16.5㎡ 以上とすること。ただし、客室の数が1室のみである場合は、この限りでない。
二 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
三 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
四 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
五 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
六 第三十条に定めるところにより計つた営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
七 第三十二条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
3、最小の改装で最短で許可が取りたい方は
営業者ご自身で申請する場合、必要以上の改装をしたり、逆に必要に満たない改装で再検査を繰り返したりと、無駄に時間とお金をかけてしまう可能性があります。
最小の予算で、最短の時間で許可を取りたい方は、申請のプロである行政書士にご相談・ご依頼ください。
新宿行政書士事務所 ⇒ 03-6675-9016