風営法の保全対象施設における「児童福祉施設」とは?

風俗営業許可を得るにあたっては、お店から規定距離内に「保全対象施設」というものがあると許可が下りないので、周辺にそのような施設がないか調査をしなければなりません。
(保全対象施設について詳しくはこちらから)

その「保全対象施設」の中で「児童福祉施設」という抽象的な施設があります。

一体「児童福祉施設」とは具体的にはどういう施設なのでしょうか?

1,「児童福祉施設」の法律上の定義

児童福祉施設を定義している「児童福祉法」第七条には以下のように書かれています。

この法律で、「児童福祉施設」とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。

児童福祉法 第七条第一項 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000164

この定義によると、以下の12施設が児童福祉施設に該当します。

  • 助産施設
  • 乳児院
  • 母子生活支援施設
  • 保育所
  • 幼保連携型認定こども園
  • 児童厚生施設(児童遊園、児童館
  • 児童養護施設
  • 障害者入所施設
  • 児童発達支援センター
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設
  • 児童家庭支援センター

これらの施設はすべて児童福祉法に基づき認可・認定などを受けているか、公営の施設です。
こういった施設は地方自治体のウェブサイトに一覧としてまとまっていることが多いです。

参考例) 東京都福祉保健局ホームページ 

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kiban/fukushi_shisetsu/shs_list/shisetsuitiran.html

ただし、全ての施設が網羅されているとは限りませんので、注意が必要です。

必ず、現地に赴き、周辺を歩いて調査しなければなりません!

2,児童福祉施設の内、注意すべきは施設は?

■保育所

近隣の調査をすると分かるのですが、上記「児童福祉施設」の内、店舗周辺に存在する可能性が高いのは「保育所」と「認定こども園」です!

東京都の場合、店舗の所在地の用途地域が商業地域の場合、周辺50m以内に「保育所」や「認定こども園」があると風俗営業の許可は下りません。

ただし、保育所の内、対象になるのは「認可保育所」のみで、「認証保育所」などはここでいう児童福祉施設には該当しませんので、保育所が近くにあったからといって、失望するのはまだ早いです。
認可保育所でなければ、風俗営業の許可は下ります。

では、「小規模保育事業」、「事業所内保育事業」、「家庭的保育事業」の保育所はどうでしょうか。
実は、これらの保育所も区が認可した保育所であるのですが、「児童福祉施設(児童福祉法7条に基づく施設)」に該当しないため、保全対象施設には含まれません。

これらの保育所は、児童福祉法第6条の3に基づく保育所のため、セーフなのです!

また、周辺調査をしていると、「発達支援ルーム」や「障害児支援センター」などといった名称の建物や、ビルのテナントなどを目にすることがあります。

結論から言えば 、これらの施設、児童福祉施設に該当しません。
(これらは、 児童福祉法第6条の2の2に基づく 「児童福祉法に基づく指定サービス事業者」という扱いです)

→ つまり周辺に存在しても 風俗営業の許可は下ります。
※ただし、実際に該当しないかどうかについては市区町村や都道府県の保健福祉部などに問い合わせの上、必ず確認をしてください。

■児童遊園

「〇〇児童遊園」という名称の施設が周辺にあって、「あっ!保全対象施設だからダメなのかな?」と思われる方もいますが、実は大丈夫なケースが大半です。

この「〇〇児童遊園」は、名称にこそ、「児童遊園」とついておりますが、実は児童福祉法に基づく児童遊園ではなく、公園法に基づく単なる公園である可能性が十分あります。

児童福祉法に基づく「児童遊園」かどうかは市区町村町の担当課に問い合わせの上、確認しましょう!
→公園法に基づく児童遊園であれば、規定距離内に存在しても風俗営業の許可は下ります!

(参考)東京都の児童遊園一覧

3,判断に迷う場合は?

保全対象施設の調査は難しいので、プロに確認してほしい!

などと言った場合は、風営法関連の手続きのプロである行政書士にぜひご相談ください!

新宿行政書士事務所 ⇒ 03-6675-9016

(参考情報)児童福祉法では様々な支援を目的として、厚生労働省令の定めによって「指定障害児通所支援事業者」などの指定を行うこととなっています。これらの事業者・事業所は、的確な支援の運用やサービスを受けるにあたってかかる費用の一部を国が補助するために指定を受けています。

しかしこのような形で指定されている「指定障害児通所支援事業者」などは前段でご紹介した児童福祉法第七条における「児童福祉施設」には該当しません。
ただし、一つの事業者・事業所が1ヶ所で複数の事業を展開している場合もあり、他の事業が「児童福祉施設」に該当してしまう場合もあります。

「発達支援ルーム」や「障害児支援センター」 などがあったからと言ってすぐに「風俗営業許可が取れない」という結論になりませんが、調査の結果、そういった事業者・事業所を見つけたらまずは市区町村や都道府県の担当課に「児童福祉法における児童福祉施設」に該当するかどうかを確認しましょう!

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