映像送信型性風俗特殊営業(アダルトサイト、ライブチャットなど)を開業するには

本WEBサイトは主として水商売(風俗営業)の開業の際の許認可手続きを解説しておりますが、「性風俗」に関する相談も稀にありますので、今回の記事では、「性風俗」に関する許認可手続きのうち、最近流行りの「(アダルト系)ライブチャット」「 (アダルト系) ファンクラブ型SNS」を中心に解説します!

1,(アダルト系)ライブチャットやサイトを運営するには?

結論から言うと、大半のケースで
「映像送信型性風俗特殊営業」の届出を管轄警察署に届け出る必要があります。

大半のケースの具体的な内容については、次を見ていきましょう。

2,どこまでが 「映像送信型性風俗特殊営業」 の対象になる?

アダルト系サイトやライブチャットといっても、どこまでがその対象になるのかと疑問に思われると思いますが、風営法上、届け出する必要のある営業行為は下記の通りです。

専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むもの <風営法第2条第8項>

上記の内容は法律の文言であるため、いかにも分かりにくいと思いますので、風営法解釈運用基準をみるともう少し具体的になります。

「性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像」の該当性の判断

「性的な行為を表す場面」とは、自慰行為、性交、性交類似行為等を行っている人の様子や光景のことをいう。

「衣服を脱いだ人の姿態」とは、全裸又は半裸等社会通念上、公衆の面前で人が着用しているべき衣服を脱いだ人の姿態をいう。したがって、例えば、通常の水着を着用した人の姿態は「衣服を脱いだ人の姿態」には当たらない。
この場合に、全裸又は半裸の人の身体の上に、社会通念上人が着用する衣服とは認められないような透明又は半透明の材質により作られた衣装等を着用したとしても、その人の姿態は、「衣服を脱いだ人の姿態」に当たる。

「映像」とは、静止映像のほか、ビデオの映像のような「動く映像(動画)」もこれに含まれる。

「専ら」の該当性の判断

「専ら」とは、おおむね7割ないし8割程度以上をいう。

「専ら」に該当するかどうかは、営業を営む者の意図及び営業の実態を踏まえて判断することとなる。

ホームページ(WEBサイト)の中を幾つかのセクションに分割し、そのうちの一部で性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せている場合については、当該セクションについて別料金を設定しているなどの事情が認められる場合を除き、ホームページ全体を通じて「専ら」当該映像を見せているかどうかを判断することとなる。

「性的好奇心をそそるため」の該当性の判断

「性的好奇心をそそるため」とは、客の性的な感情を著しく刺激する目的であると社会通念上認められるものをいう。

具体的には、客に見せる映像の中に次の映像がおおむね2割以上含まれている場合には、「性的好奇心をそそるため」のものであると評価することができると解される。


① 衣服を脱いだ人の姿態で、次に掲げるもの
(ⅰ) 大腿部を開いた姿態
(ⅱ) 陰部、臀部又は胸部を誇示した姿態
(ⅲ) 自慰の姿態
(ⅳ) 排泄の姿態
(ⅴ) 愛撫の姿態又はこれを連想させる姿態
(ⅵ) 緊縛の姿態

② 性的な行為を表す場面で、次に掲げるもの
(ⅰ) 男女間の性交又は性交を連想させる行為
(ⅱ) 強姦、輪姦その他のりょう辱行為
(ⅲ) 性交類似行為
(ⅳ) 変態性欲に基づく性行為

電気通信設備を用いての意義

「電気通信設備」とは、インターネット等、電気通信(有線、無線その他の電磁的方法により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう。)を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備をいう。

営業に該当するか

「営業」でなければならないから、通常、無料で映像を視聴できるウェブサイトは含まれない。ただし、広告収入がある場合、顧客誘引のために映像の一部や利用期間の一部を無料としている場合、他の有料サイトと連動して一つの事業と見ることができる場合などは、全体として「営業」に該当することがありえる。

日本国内での営業であれば、サーバーが海外でも適用

日本国内で営まれる営業に限られるが、単に物理的なサーバが海外に存在するだけで国外の営業とされるわけではない。

バナー広告・アフィリエイトなどは、対象になるか

バナー広告(インターネットのホームページ等に設けられた横断幕状の映像であって、広告の内容を表示するとともに、当該広告の部分をクリックすることにより、当該広告の広告主が希望するホームページに自動的にアクセスすることができるようにしているものをいう。)を表示すること等により広告収入を得て、当該バナー広告を依頼した者の客となるべき者に映像を伝達する形態のものは、映像送信型性風俗特殊営業に当たらない。

3, (アダルト系) ファンクラブ型SNSは対象になるか

昨今、ファンクラブ型SNSなどにて、そのファン会員に向けて「性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像」を流す配信者が増えております。

こういった行為を行う配信者個人は果たして、映像送信型性風俗特殊営業の届出をする必要があるのでしょうか。

風営法は、インターネット等で次々に出てくる新しいサービスに対応できておらず、個別具体的にこのファンクラブ型SNSが対象になる、ならないは規定されておりません。

ですので、上記2に記載の一般的な判断基準に基づき、届出義務があるのかどうかを現場の警察官や検事が判断し、義務があるのに届出をしていない場合は逮捕・起訴することになります。(最終的には、裁判官の判断)

また、届出の義務を負うものに関しては、 風営法解釈運用基準には、 下記の記載があるのみです。

「届出書の提出義務を負うのは、実質的に映像送信型性風俗特殊営業を営むと認められる者である。したがって、単にホームページ開設サービスのみを行う自動公衆送信装置設置者や単に料金の回収の代行を行う電気通信事業者は、一般的には、ここでいう営業を営もうとする者には当たらないと解される。」

運営プラットフォーマーが、実質的に映像送信型性風俗特殊営業を営むものと警察が判断し、配信者個人は単なる利用者と見なされれば配信者は届け出は不要でしょうが、運営プラットフォーマーはホームページ開設サービスに近いサービスを提供しているのみ(配信の場所の提供のみ)と見なされる場合は、配信者個人が届出する必要があるでしょう。

その上で、 一部の生活安全課の警察官と相談した感触を踏まえ、行政書士である私個人の見解は、営利性を基準に下記の通りになりますが、管轄の警察官によっては異なる判断をされる場合もありますので、必ず管轄警察署の生活安全課に相談することをおすすめします。

<具体的判断基準> 

・無料で流していた場合は、営業にあたらないので、届出は不要

・無料広告を付けて、サイト運営会社から広告収入を得る場合は、ケースバイケース
 ⇒広告収入の金額が少額であれば届出不要だが、多額であれば届出をした方が無難

・月額有料課金、有料動画販売は、営業にあたり、原則届出必要
(運営プラットフォームによっては、運営会社が届出することで、個別の配信者は不要なケースもありうる。ただし運営実態や運営規約に基づき、判断する必要あり)

※なお、アダルト系DVDやグッズ等を通信販売する場合は、「無店舗型性風俗特殊営業(第2号)」の届出もする必要があります。

※届出をする必要はない場合でも、当然、刑法174条(公然わいせつ罪)や刑法175条(わいせつ物頒布等罪)、児童ポルノ禁止法などは守る必要があります。

4,届出をしないとどうなる?

6カ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が課せられます。

FC2運営者が「映像送信型性風俗特殊営業」の無届で逮捕された、もしくは狙われたニュース

FC2コンテンツマーケットやFCライブを無届で運営していて逮捕された事例があるのか調べてみたところ、極少数ですがあるようです。

警察が狙ったのは、実質は「公然わいせつ罪」や「わいせつ物頒布等罪」でしょうが、今後、無届営業のみで逮捕される可能性が全くないとは言い切れないでしょう。

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5,届出の際の必要書類および注意点

<注意点>

必要書類の中で、重要な書類は、運営する事務所が賃貸物件の場合、大家さんからもらう「使用承諾書」です。

「そもそも事務所なんかなく、自宅でやっているよ」という場合は自宅が事務所になります。

この場合、持ち家なら良いのですが、居住用で借りているマンションの場合、この「使用承諾書」がもらえるケースは残念ながら、ほとんどありません。

居住用として貸したのに、その後「映像送信型性風俗特殊営業」の事務所として使用することを承諾する、と記載された書面に判子を押す大家さんは普通はいません。逆の立場だったら、と考えてください。。。

きちんと営業して届出しようという方は、予めこの点を話をして物件を借りる必要があります!

すでに自宅で 「映像送信型性風俗特殊営業」やっているが、使用承諾書をもらえないという方は、
1,新たに使用承諾書をもらえる物件を借りて届出する
2, 「映像送信型性風俗特殊営業」 に該当するような営業・配信はしない
3,バレなきゃいいやの精神で、届出なしで継続営業する

以上を選ぶしかないですが、3をおすすめしないのは言うまでもありません。

<届出必要書類>

1,届出書

2,営業の方法

3,使用承諾書及び賃貸借契約書の写し(賃貸物件の場合)

4,建物登記事項証明書

5,住民票の写し(本籍記載・個人番号未記載)

6,顔写真付身分証明書のコピー(管轄警察署による)

<法人の場合は、下記追加>

7,定款

8,履歴事項全部証明書

9,役員全員の住民票の写し(本籍記載・個人番号未記載)

6,届出から営業までの流れ

1,管轄警察署に届出の予約

2,管轄警察署に必要書類を持参して届出
  (手数料3,400円納付)

3,上記2の10日後から営業可能

4,上記2の約2週間後に届出確認書が交付される

<注意点>

※届出時までにURLを決めておく必要があります。
※届出はWEBサイトが複数ある場合、そのサイト分届出する必要があります。
※営業にあたっては、18歳未満の者を客としてはならず、客が18歳以上である旨の証明等を受けた後でなければ映像を伝達してはなりません(例・クレジットカード決済・パスワード発行等)。

7,最後に

ここまで読んで頂き、届出するべきかどうかの判断、必要書類の作成など、ちょっと難しそうだなと思った場合は、風営法関係の許認可申請のプロである行政書士にお気軽にご相談ください!

お電話や問い合わせフォームによる相談は無料です!

新宿行政書士事務所 03-6675-9016

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