キャバクラやホストクラブなどの接待を伴う飲食店を開業する場合、風俗営業の許可を取得する必要があります。
その許可申請に関し、「営業者個人で申請する」か、それとも「営業者が代表を務める法人を設立した上で許可申請をする」方がよいか、こういった相談もよくありますので、その点につき、風営法を専門とする行政書士が解説します。
注)税務関係は一般論を述べておりますので、申告の際は税務署もしくは税理士さんにご相談ください。
目次 (クリック可能)
1、営業者個人で申請するメリット・デメリット
メリット
①申請書類が法人に比べて、少なくて済む
②税務申告も法人に比べて簡易。赤字の場合、納税額は0円で済む
デメリット
①利益が大きく出た場合、法人に比べ納税額が大きくなる
②許可ごと営業店舗の譲渡ができない。
(第三者にお店を譲渡した場合、風俗営業の許可は一旦廃業した後、譲り受けた第三者が改めて許可申請を行う必要がある。この場合、新たな許可までは営業できないという問題の他に、仮にその譲渡時点で、保全対象施設が店舗周辺に出来ていた場合、許可は取れなくなる)
(参考情報)
<東京都や神奈川県の場合>
個人名義で風俗営業許可のお店を取得しているお店が、法人成り(その個人営業者を代表とする法人を設立)した上で、許可を新たに申請する場合、新たな法人での許可が下りるまでの間も継続営業可能。
ただし、法人での新たな申請時に、保全対象施設が店舗周辺に出来ていた場合、法人での許可は取れないので注意。
2、既存の法人で申請する場合のメリット・デメリット
営業者個人が既に他の事業で法人を設立しており、その法人で申請する場合
メリット
①許可を取得した後、その店舗を譲渡したい場合は、会社分割の制度(分割承認申請)を使って、その店舗のみを第三者に譲渡することができる
(第三者は会社分割が成立し次第、速やかに営業できる。また、その時点で保全対象施設が店舗周辺に出来ていた場合でも、許可は継続される)
②税務申告に関し、他の事業と全体で損益通算できる。例えば、他の事業で多くの利益が出ていても、キャバクラ事業で赤字なら、納税額を抑えられる。逆に、キャバクラ事業で多くの利益が出て、他の事業で赤字の場合も、納税額を抑えらえる。
デメリット
①申請書類が、個人で申請するに比べて多い。
②既存法人に役員が多い場合、役員全員に関し、人的要件(欠格事由がないか)の審査がある
(提出書類も役員全員必要)
③許可後、役員の変更がある都度、変更届を出さなければならないので手間が増える。
許可の取り消しなどがあると、その時の役員全員が、5年間欠格事由に該当してしまう。
④風俗営業許可を取得する法人に対しては、金融機関からの借り入れが難しくなる
3、新規法人を設立した上で申請する場合のメリット・デメリット
営業者個人を代表とする新たな役員1名の法人を設立した上で、その法人で申請する場合
(当該店舗でのキャバクラ等の事業を行うだけのため法人)
メリット
①許可を取得した後、その店舗を譲渡したい場合は、法人の株式譲渡と代表者変更をすることで簡易に第三者に譲渡することができる。
(代表者変更が完了し次第、速やかに営業できる。また、その時点で保全対象施設が店舗周辺に出来ていた場合でも、許可は継続される)
②役員1人なので、上記2に比べ、申請に必要書類や許可後の変更届などは簡易
③利益が大きく出た場合、個人営業に比べて納税額を低く抑えられる
デメリット
①法人を設立する時間がかかる
②仮に赤字でも、個人と違い、最低7万円は納税しなければならない。
(税務申告自体も、個人の確定申告と違い、税理士に依頼しないと難しい)
4、結論<オススメ>
で、結論、一体どの方法で申請するのがよいの?と思った方へ
私個人としては、3の新規法人設立をした上で申請するのがベターだと思っております。
(ただし、売上が月に100万円も見込めないお店は個人名義でもよいと思います)
今は、昔と違って、株式会社も安価な費用で作ることができますし、合同会社という株式会社より更に安価で設立できる法人もありますので、せっかく事業をやるなら法人でやる方がよいと思います。
(参考)株式会社設立について
5、悩んだ場合は?
どういった形で申請するか悩んだ場合や、会社設立から風俗営業許可申請まで一気通貫でご依頼できる行政書士を探している場合など、申請のプロである行政書士にご相談・ご依頼ください。
お電話やメールによる相談は無料です。
新宿行政書士事務所 ⇒ 03-6675-9016