無店舗型性風俗特殊営業って何?

「無店舗型性風俗特殊営業(派遣型ファッションヘルス)」という警察に届出が必要な業態がありますが、「こういう営業って届出必要?」「マッサージはどこまでなら届出を出さなくてよい?」「同性同士のHなマッサージの場合は?」などの問い合わせがありますので、この点につき、風営法の専門家である行政書士が解説します!

なお、具体的な届出の手続き方法については、下記記事を参照ください。

無店舗型性風俗特殊営業開始届について(デリヘルを始めるには)

1,無店舗型性風俗特殊営業とは?

「無店舗型性風俗特殊営業」とは、風営法で下記2種類に規定されております。

1,人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの ⇒ 派遣型ファッションヘルス

2,電話その他の国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、専ら、前項第五号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの ⇒ アダルトビデオ・グッズ等の通信販売など

今回の記事では、上記の内「派遣型ファッションヘルス」について解説します。

2,営業内容の具体的定義について

上記、風営法の規定をもう少し細かく定義している「風営法解釈運用基準」にて「派遣型ファッションヘルス」を見てみましょう。

1,「人の住居」とは、人が居住して日常生活に用いている家屋等の場所をいい、その居住は永続的であることを要せず、一時的でもよい。短期賃貸マンション、キャンピングカー、居住設備を有する船舶なども含まれる。

2,「人の宿泊の用に供する施設」とは、人の宿泊又は休憩の用に供することができる家屋その他の建築物をいう。ラブホテル、モーテル、レンタルルーム等店舗型性風俗特殊営業として法の規制の対象となる営業がこれに当たることはもちろんであるが、一般のホテル、旅館等であってもこれに当たる。

3,「性的好奇心に応じて」とは、当該客の性的な感情に応えてという趣旨である。したがって、通常のマッサージ等は、同号の営業には当たらない。

4,「客の依頼」を受ける方法については、制限がない。ただし、客が来訪する施設において「客の依頼」を受ける場合、「受付所」に該当することから、受付所で「客の依頼」を受ける業務については、風営法第31条の3第2項の規制(営業禁止区域、営業時間、客引きなどの禁止行為に関する規制等)を受ける。

5,「派遣」とは、客に接する役務を提供する者を差し遣わすことをいう。人の住居又は人の宿泊の用に供する施設以外の場所で客と会った後、人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において役務を提供するような形態のものも含まれる。

「異性の客」の意味 

風営法解釈運用基準にはあえて記載はありませんが、風営法本文に「異性の客」とはっきり明記されております。

よって、同性愛者向けのサービスは、この営業にあたらないことになります。

何かあったら嫌だから一応出しておきたいという方もいると思いますが、必要ありません。
それでも強引に出したい場合は、異性の客もたまにではあるが客になる可能性があるという形で、届出を出す必要があります。

ただし、届出をすることにより、逆に「無店舗型性風俗特殊営業」の規制対象になりますので、
メリットはないと思います。(受付所や提携ホテル禁止など)

なぜ「異性の客」という規定が盛り込まれたかというと、この条文が制定された平成10年当時、同性の客に接触する役務には風俗上の問題は少ないと立法者たちが認識していたからです。

3,やってはいけないサービス

「無店舗型性風俗特殊営業(派遣型ファッションヘルス)」 の届出を警察に提出していても、やってはいけないサービスがあります。

それは、「売春防止法」に定められており、下記内容です。

「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。」
「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。
(「性交」とは「男性器の女性器への挿入」を意味します。)

仮に接客従業者がお客さんと「性交」をしてしまった場合、罰せられるのは、接客従業者ではなく、お店側になりますので、絶対にそういうことが起きないように指導しましょう!

なお、お客さんが無理やり接客従業者と「性交」した場合は、「強姦罪」が適用されます。

4,18歳未満の者は、従業員も客もダメ!

18歳未満の者を客に接する業務に従事させることは禁止されております。

なお、ここでいう客に接する業務とは、単に客から代金を徴収する業務であっても、該当しますので、注意しましょう!

⇒<風営法上の罰則>一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科
 <児童福祉法の罰>十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科

また、18歳未満の者を客とすることも禁止されております。

5,最後に

ここまで読んで頂き、なんとく「無店舗型性風俗特殊営業(派遣型ファッションヘルス)」 について分かって頂いたと思います。

具体的にこの商売を始めたい方は、下記記事に、届出の方法を解説しておりますので、ご一読ください。

無店舗型性風俗特殊営業開始届について(デリヘルを始めるには)

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