今回の記事では、アミューズメントカジノ(換金等をしないゲームセンターに近い形のカジノ)を営業する場合における許可手続きについて風営法専門の行政書士が解説します。
目次 (クリック可能)
1,アミューズメントカジノってなんの許可をとればいいの?
アミューズメントカジノというと、 ルーレット、ポーカー、バカラなどを楽しめる換金できないカジノというイメージがあると思いますが、ではそのアミューズメントカジノを開くには、どういった許可が必要でしょうか。
結論から言えば、風俗営業5号許可が必要です。
(一部の都道府県では、風俗営業許可(1号)も必要ですが、東京都では不要というか両方を取ることはできません。風俗営業許可(1号)はダブル取得できませんので、スタッフによる接待行為は禁止です。ディーラーもお客さんとの会話は最低限ゲームで必要な会話程度しかできません。)
アミューズメントカジノは遊戯設備を設けて客に遊戯をさせる営業ですので、ゲームセンターと同様、風営法の5号営業というものに分類されます。
そして、同じ営業所内で飲食物や酒類を提供する場合は、飲食店営業許可も合わせて必要です。
(飲食物を提供しない形態であれば、飲食店営業許可は必要ありません。)
2,風俗営業5号の許可を取得する際の注意点
<場所に注意>
店舗の場所は非常に重要です!多大なお金をかけて賃貸借契約をした上で、更に内装工事の費用もかけたにもかかわらず、許可が下りない場所だったと後に判明したのでは、悲惨すぎます。
必ず、物件を契約する前に、確認しましょう!
1,用途地域に問題はないか
風俗営業の許可を取得するには、用途地域が商業地域などである必要があります。
2,店舗周辺に保全対象施設はないか
風俗営業の許可を取得するには、店舗の周辺規定距離内に「認可保育所」や「図書館」「病院」「学校」などといった保全対象施設というものはない必要があります。
<申請者の欠格事由に注意>
申請者が下記に該当する場合は、許可は下りませんのでご注意ください。
<主なもの>
①「破産者」、「成年被後見人」、「被保佐人」
②風俗営業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
③罰金刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
④営業に関し、成年者と同一の能力を有しない未成年
<店舗内の構造に注意>
店舗内の構造に関しても一定のルールがあります。
①客室の内部に見通しを妨げるような間仕切り(1m以上のもの)などがないこと
<ただし、客室1室あたりの面積制限はありません>
②客室出入口に施錠の設備(営業所外に直接通ずる客室を除く)を設けないこと
③客室の明るさが10ルクス以下にならないような設備があること
3, 換金や交換は厳禁! 賭博性のある料金システムは不可
アミューズメントカジノはあくまでアミューズメントですので、賭博性のあるサービスを提供することはできず、換金だけではなく、景品と交換することも認められていません。細かい話、チップを店内のドリンク代として交換することもNGです。
店側からチップやコインを販売し、そのチップを使用して遊んでもらうことは可能ですが、お客さんがゲームで勝利し多くのチップを手にしたとしても、そのチップを買い取ることはできません。
お客さんがアミューズメントカジノで遊んだ結果、増えたチップをどうするのか(預り保管・使い切り)も決めておかねばならない事項です。
預り保管制度にするのなら、具体的にどう管理するか、払い出しはどうするかも明瞭に決めて申請の際に警察に料金システム表を提出する必要があります。
チップの換金は、風営法違反だけではなく刑法の賭博罪にも問われますので、絶対NGです!
4, 接待行為の禁止
風営法5号許可においては、お客に対して接待行為をすることができません。
接待行為とは、イメージとしてはキャバクラなどで、お客さんと談笑したり、お酌をしたり、ゲームを楽しんだりする行為になります。風俗営業5号許可では、接待行為は認められておりませんので、注意してください。
また、接待行為が認められている風俗営業1号許可を同じ店舗と併せて取得することは東京都では認められておりません。(大阪府など極一部の地域が認められているようです)
接待行為については、こちらの記事で詳しく書いているので、ぜひ参照してみてください!
5,未成年者の営業時間入場制限
アミューズメントカジノのような風俗営業5号許可では、営業時間の制限があり、原則として深夜0時(繁華街などの営業延長地域においては、午前1時)から午前10時までの間は営業できません。
そして、未成年者に関しては、例えば東京都では、下記のような入場制限があります。
・18歳未満は午後10時まで
・16歳未満は午後6時まで(保護者が同伴すれば午後10時まで)
6,いわゆる10%ルールを使って、深酒の届出ではだめ?
たまに、少し風営法に詳しい営業者の方から下記のような問い合わせがあることがあります。
「ポーカー台を1~2台置くバーを開業したいんだけど、少し置くだけだから、深夜酒類提供飲食店営業届出ではだめですかね?ゲーム機の面積が10%以内であれば、風俗営業5号の許可を取得しなくてよいという10%ルールというものを聞いたことがあるのですが、、、」
結論から申し上げると、大半のケースでは、難しいです。
そもそも、10%ルールというのは、風営法の解釈運用基準にて下記の通り記載されております。
「遊技設備設置部分を含む店舗の1フロアの客の用に供される部分の床面積に対して客の遊技の用に供される部分(店舗でない区画された部分も含む。)の床面積(当該床面積は、客の占めるスペース、遊技設備の種類等を勘案し、遊技設備の直接占める面積のおおむね3倍として計算するものとする。ただし、1台の遊技設備の直接占める面積の3倍が1.5平方メートルに満たないときは、当該遊技設備に係る床面積は1.5平方メートルとして計算するものとする。)が占める割合が10パーセントを超えない場合は、当面問題を生じないかどうかの推移を見守ることとし、風俗営業の許可を要しない扱いとする。」
難しい理由①
例えば、20坪のお店でアミューズメントカジノをやろうとして、客室(客の用に供される部分の床面積)の面積は調理場やトイレを除くと、多くみても、15坪(約45㎡)です。ポーカー台を2台置くとして、小さいポーカー台でも1台1.5㎡くらいはあるでしょう。
そうすると、客の遊戯の用に供される部分の床面積は 1.5㎡ × 2台 × 3倍 = 9㎡
客の用に供される部分の床面積は、45㎡なので、その10%である4.5㎡を上記9㎡は超えておりますので、上記ルールは適用不可になります。
少し風営法に詳しい営業者の方は、基本的に、営業所全体が、客の用に供される部分の床面積と勘違いしていたり、 客の遊戯の用に供される部分の床面積を遊技台の面積のみと勘違いしているケースが多いです。
難しい理由②
ディーラーを配置しての風俗営業許可を取得しないゲーム営業は認められていないからです。
ポーカー台を設置する場合、お店側としては当然ディーラーを配置したいと思うでしょうが、「深酒+10%ルール適用」でのディーラー配置は警察は認めておりません。
なお、お客さん同士でのポーカーであれば 「深酒+10%ルール適用」 で可能です。
7、特定遊興飲食店営業や深夜酒類営業との二重許可の可否
風俗営業終業後に引き続き同一の営業所を利用して特定遊興飲食店営業又は飲食店営業を営むことは、時間外営業等の脱法行為を誘発するおそれがあるので、次のような措置が講じられ、営業の継続性が完全に断たれる場合に限り、特定遊興飲食店営業又は飲食店営業としての継続が認められます。
(深夜酒類提供飲食店の届出との継続営業もハードルは高いですが、当事務所では認められたケースがあります)
<ゲームセンター等>遊技設備設置部分を区画して当該部分を閉鎖して立ち入れないこととすること又は遊技設備を撤去する(遊技設備の元の電源を切り、かつ、遊技設備に覆いを掛けるなど撤去に準じる措置を講じることでも差し支えない。)ことによって営業すること。
8,申請に悩んだら
アミューズメントカジノの許可申請は、要件確認や申請図面の作成など、非常に難易度が高い申請になります。
<参考>東京都における風俗営業許可の申請様式(警視庁HP) 及び 必要書類
申請に時間がかかるようであれば、風営法のプロである行政書士にお気軽にご相談ください!
新宿行政書士事務所は、アミューズメントカジノの申請に十分な実績のある行政書士事務所になります。
新宿行政書士事務所 ⇒ 03-6675-9016